NRIの社員は誇りを持って働いていた。 仕事の魅力を熱く面白く語ってくれた。 そんな姿に憧れて入社を決意。 社会人のキャリアがスタート。
学生時代、就職活動の時期を迎え自身の進路について模索する中、さまざまな業界や企業、その仕事内容など、幅広く情報を収集しました。その中にあったのが、シンクタンクや現在のコンサルファームに近い業態の仕事でした。世の中のことを調査研究してレポートを発信する仕事であることを知り、興味を抱きました。仕事を通じて世の中のことを理解することができる、自身が成長できる仕事と感じたのです。そこでシンクタンクや金融関連のリサーチ会社等、各社にアプローチしていきました。結果として複数の会社にご縁があったのですが、その中でNRIは、社員の方々が楽しそうに働いており、自分の仕事に誇りを持っている雰囲気を一番感じました。その点が他社にはない魅力であり、入社の決め手になりました。
入社後は、システムエンジニアとしてキャリアをスタートしました。システムの下流工程の経験を積んだ後、システムの上流工程である企画構想フェーズを担当するようになりました。たとえば、製薬会社のMRが使う情報端末には何が求められるか、どのようなニーズがあるか、実際にMRにヒアリングを重ねて、システム全体の構想を描いていく業務です。この時期、顧客訪問の際は上司に同行して業務を遂行していました。その際、上司の言動に触れその背中を見ていく中で、少しずつ自分自身に「プロフェッショナル」としての責任や自覚が芽生えていきました。それが、私の社会人としての出発点だったと思います。
システムエンジニアとして活動しながらも、今後のキャリアを考えていた際に、留学する機会を得ました。現在は留学の場合、国外が基本ですが、当時は国内・国外留学いずれも可能であり、私は母校の大学院を選択しました。これまでのキャリア・今後のキャリアを考え抜いた結果、留学後、リサーチ(コンサル)部門でコンサルタントとして働きたいと感じるようになりました。そのために留学期間である2年間で多くのことを吸収しようと思いました。
留学先の大学院は社会学研究科を選び、院内の社会情報研究所に所属しました。
当時、パソコンが急速に普及し、いわゆる情報化社会の到来が叫ばれていた頃で、情報化社会を予言したアルビン・トフラーなどが注目されていました。情報化社会が実現し、さまざまな情報サービスが世の中に普及したとき、社会や仕事はどのように変容していくのか。統計学等を駆使して、その調査研究を進めました。社会科学的アプローチの基礎を養えたと感じています。そして大学院修了後、入社5年目の1996年にコンサルティング部門に異動となりコンサルタントとして活動するようになりました。
大学院留学を機に 新たなキャリアを踏み出す。 組織風土の変革に向けた 理念浸透の取り組み。
最初に担当したのが情報通信業界。マーケティングやCRM(Customer Relationship Management)等に関するコンサル業務を担当しました。当時は、携帯電話が爆発的に普及した時期。3Gから4G、5Gへと通信規格が進化していくことが想定される中、どのようなサービスが可能か、携帯電話にどのような機能が求められるか等、お客様と議論を重ねて事業戦略を策定する仕事を実施しました。その後、ご縁があり、製造業のお客様も担当しました。
このセクターではお客様の中期経営計画策定をはじめ、様々なプロジェクトを経験しました。その中でも特に印象に残っている案件が二つあります。一つは、業績が芳しくなく苦境に立たされていたお客様の事業再生案件です。
私はお客様先に常駐し、コスト削減や営業改革等の検討を進めました。手探りの中で苦境を脱する施策を模索しましたが、答えは容易に見つからない状況が続きました。やがて、お客様と議論を重ねていく中で、ひとつの気づきに至りました。それはどのような戦略であっても、実際に遂行する従業員一人ひとりがその背景にある想いに共感し、率先して行動することが不可欠であるということ。そこで、お客様の経営層と二人三脚となって戦略の具体化を進めるとともに、より従業員が戦略を自分ごと化できるような様々な働きかけを粘り強く行いました。結果、徐々に従業員の中に積極性やチャレンジ意欲が広まっていきましたし、ビジネス戦略も軌道に乗ってくるようになりました。
また別のお客様は、グローバル化が進み海外ビジネスが拡大する中、縮小する国内ビジネスでは製造・営業共に士気が低下し、仕事への誇りを失っているという問題を抱えていました。その解決のために取り組んだのが、経営陣をはじめ全国の管理職の方々、さらには個々の従業員同士の「対話」です。仕事の意義、組織のミッション、企業理念等々、様々なテーマで語り合ってもらいました。この取り組みを3年継続。その結果、組織風土が明らかに変化しました。
かつての閉塞感から脱却し、端的に言えば明るい社風になり、各部署の連携も強固なものとなっていきました。理念浸透によって生まれた、従業員の仕事や製品に対する愛着が、組織風土を変えていったのだと思います。
振り返るとこの二つのプロジェクトは、今で言う従業員エンゲージメントの向上をめざしたものでしたが、その重要性を実感した私にとっての原体験です。
子育てとコンサルティングの両立。 「ワーク・ライフ・バランス」から 「ワーク・イン・ライフ」へ。
問題を発見し、その解決に向けた戦略を示して、戦略を実行する仕組みを設計し、実際に仕組みを動かすという一連の流れをすべてできるようになってこそ、初めてお客様を良い方向に導けるコンサルタントと言えます。それを前提にしつつ、NRIのコンサルタントはお客様ととことんつき合う姿勢、そして企業理念にある「お客様とともに栄える」という考え方を社員みんなが大事にしています。お客様にとことんつき合った結果、お客様に喜んでもらうこと、「ありがとう」という感謝の言葉をいただくことが、この仕事のやりがいであり醍醐味と感じています。そこには仲間の助けがあります。
私自身、前に進めることが困難な壁に突き当たったとき、多くの仲間に助けられて乗り越えることができました。コンサルティングは決して楽な仕事ではありませんが、私はこの仕事が大好きです。それはお客様やNRIの仲間など、人と人との関係で成り立つ仕事であり、人への理解と共感が仕事を楽しくさせているのだと思います。
コンサルタントを続けていく中、結婚・出産を経験しました。コンサルティング業界全体を見ても、当時はまだ働き方改革が進んでおらず、子育てしつつ仕事をするコンサルタントは珍しかった時代です。そんな時代でも、周りの皆さんがとても温かく、優しい眼差しで見守ってくれました。周りに支えがあったから仕事と子育てを両立することができたのだと思います。
もう一つ、私にとって「お客様にもっと喜んでもらいたい、お客様のために頑張りたい」という想いが原動力になりました。ただ、子どもと過ごす時間もたくさん作りたいし、お客様にもたくさん喜んでもらいたい、やりたいことが二つあり、自分の中で葛藤もありました。その中で、今時間を割くべきなのは子育てか仕事か、ということを考えながら最適なバランスを考えて行動していました。
もちろんすべて上手くいくばかりでなく、失敗が多かったのも事実です。でも、そんな母親の姿を近くで見ていたから、娘も私の仕事について深く理解してくれました。
「ワーク・ライフ・バランス」、つまり、仕事と生活の調和をとることは重要であり、一般的に、ワーク・ライフ・バランスを実現する働き方が推奨されていると思います。私も仕事と生活の調和は大切だと思いますが、ワーク・ライフ・バランスという言葉には、長時間労働や残業時間是正の意味合いが込められていると思います。
まるで、仕事という「敵」が存在し、その敵に勝つためにプライベートを大事にしようという構図があるように感じられます。仕事中心で人生を考えるから、そのような構図に陥ってしまうのではないでしょうか。私は、人生の中に仕事がある、つまり「ワーク・イン・ライフ」という考え方・働き方に共感します。仕事は、自分の人生の中の一部であり、家族や友人、プライベート同様に大切なものだと思います。決して「敵」ではない。そうした考えに立つことで、自分らしい働き方や生き方ができると思っています。
コンサルティング部門の部長を経て、2019年に経営役・人事部長に着任しました。人事制度やそのあり方というのは多くの企業で重要なテーマの一つです。しかし、私自身はこれまでコンサルタントとしてお客様の改革を支える仕事をしてきましたが、当社の人事制度に関わった経験がありませんし、その中で、自社の人事を統括する立場に立つことに当初は大きな不安がありました。一方で、私にとって新たなフィールドへの挑戦であること、新しいミッションに取り組むことへの期待感もありました。
着任早々、検討を開始したのが人事制度の改革です。人事制度は過去20年以上大きくは変わることなく今までNRIはいわゆる職能資格制で、もちろん成果主義もかなり前から導入していますが、年功序列の雰囲気から抜け出しきれていないところがありました。
そこを打破していくことが、社員の挑戦や自己変革を促すことに繋がっていくと考えました。その検討から導入したのが、ミッショングレード制=役割等級制です。これは、その人が担う役割(ミッション)に応じて職階・処遇が決まるという制度。たとえば、管理職に昇格したばかりの人でも、その人が課長級のポジションに付ける能力があると見なされれば職階が上がり、その逆もある。もちろん再チャレンジもできます。
この役割を担うのにふさわしいと思う人をどんどん登用していく。役割の大きさで職階が決まりますから、優秀な若手を抜擢登用することも可能です。さらに大きく変えたのが、キャリアパスを2方向用意したことです。
人事制度のドラスティックな 改革を推進。 あらゆる経験は 有機的に繋がり実を結ぶ。
当社はかねてより、行動指針で「プロフェッショナルであれ」と謳い、人材育成においてもそこを志向してきました。ただ、同じ制度を長年運用している中で、課長や部長というポジションにつかないと、会社から評価されていないと感じさせる雰囲気ができてしまいました。でも、必ずしもみんながマネジメント志向なわけではない。そこで、組織マネジメントをする社員と同等の処遇でプロフェッショナルとして活躍する社員のための職階を設け、マネジメントではない「チーフエキスパート」のキャリアパスを明確化しました。
管理職ではない非管理職においても制度改革を行っています。経験を積み、ステップを踏みながら徐々に職階が上がっていく仕組みをある程度維持しつつ、そこにいわゆる「飛び級制」を導入しました。
じっくり落ち着いて経験を積むのに向いた人、どんどんチャレンジすることが向いた人など、それぞれの特性に合わせてダイナミックに等級を動かすというドラスティックな人事制度の改革でした。人事部長に着任し、人事制度改革に取り組む中で、「会社を良くしたい」という強い想いが込み上げてきました。制度改革を進めていく中で感じたのは、これまで経験したことで無駄なものは一つもなかったということです。いろいろな経験、出会った多くの方々、取り組んださまざまなプロジェクト等々、それらが有機的に繋がって今の仕事がある、今の自分がいることを実感しました。
デジタル社会資本で世界を ダイナミックに変革する存在へ。 世界中の優秀な人材から 働きたいと思われる企業へ。
2023年10月に新社長の打診を受けました。もちろん予想もしていなかったことで、驚きと不安しかありませんでした。しかし「やるしかない」と思いましたし、人事部長に着任したとき同様に私にとって新しい挑戦の場。人事という領域を大きく超えた世界をマネジメントしていかねばなりませんが、今まで周囲の声に耳を傾け、全体をまとめ上げてきた経験を活かして、「会社を良くする」ことに全力で臨みたいと思っています。2023年4月に始動した「中期経営計画2025」と長期目標の「NRI Group Vision 2030」に向けて、成長を加速させていくのが当面のミッションになります。
「NRI Group Vision 2030」でNRIグループが目指す姿として掲げたのが、「経営とテクノロジーの融合で時代を先駆け、DXの先にある豊かさを洞察し、デジタル社会資本で世界をダイナミックに変革する存在へ」です。ビジョン達成のためには人的資本、すなわち人材こそがカギを握ります。社員が挑戦できる場・機会を数多く提供し、会社と社員が相互に成長し合える関係を強化していきたいと考えています。
私たちの事業戦略は多岐にわたりますが、その中でも特に重要と考えているのが、AIへの積極的な取り組みです。「生成AI」をはじめ急速なペースでテクノロジーは進化しており、世の中のあり様が変わるかもしれない大きなビジネスチャンスと捉えています。しかしながら、AIはあくまで一つのツールであり、「何のために」また「どのように」活用するかが重要だと考えています。AIを活用して、お客様のビジネスモデルを変革する、生産性を上げてよりクリエイティブなことに使える時間を作る、そのようなことを目指していきたいと考えています。
社会は今、「Volatility:変動性」「Uncertainty:不確実性」「Complexity:複雑性」「Ambiguity:曖昧性」の4つの単語の頭文字をとった「VUCA(ブーカ)」の時代と言われています。そうした不透明な時代の中にあっても、社会に対して「新しい社会のパラダイムを洞察し、その実現を担う」、お客様に対して「お客様の信頼を得て、お客様とともに栄える」という使命を追求し、次代に向けた「デジタル社会資本で世界をダイナミックに変革する存在へ」の進化を目指します。さらに将来的には、NRIをグローバルで評価される存在に成長させたい。世界中のとびきり優秀な人材から、働きたいと思われる会社を目指していきます。
NRIは、何事にも興味を持って学び・チャレンジする人を歓迎します。
ぜひ、我々と一緒に新しい社会価値を生み出していきましょう。
NRIが求める人材は、学ぶ意欲があり、成長することに対して貪欲である人です。学生の方の中には、目指すキャリアの方向性が明確でない人もいるかもしれません。やりたいことが見出せていない人もいるでしょう。しかしそれは必ずしも重要でありません。学ぶことと成長することに貪欲である人は、必然的に仕事に真摯に取り組みますし、その過程で自らのキャリアの方向性を考えても遅くはありません。今、ITと関わりのない領域はありません。ITを駆使して社会にインパクトを与える、新しい社会価値を創出する、それがNRIの仕事です。みなさんのチャレンジする場を、そして確かなやりがいをNRIは提供します。みなさんと一緒に働ける日を楽しみにしています。
柳澤 花芽
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